【神仙魔伝】夏祭り2015・祭りと4人

「夏祭り?」
彼女たち、緋豊ひとみけいは、ほぼ同時に聞き返した。
「そう。うちの地区だし、皆で行かない?すぐ近くなんだ」
月乃つきのがそう言う隣で春陽はるひはカバンをガサゴソと漁る。取り出したのは、ひと目で素人が作ったと分かる、少しよれたピンクのチラシだった。
「これ~。結構大きいお祭りだから、どうかな~と思って」
『夏祭り』と、シンプルかつ大きく書かれたタイトルに、ありがちな誘い文句。イベントのタイムテーブルにお品書き。圭の目が爛々と輝いた。
「行く!」
迷いなく宣言する。緋豊はなにかに気づいたようだった。
「お前、食べ物の屋台の紹介欄、見たな」
「……いいだろ、別に」
「駄目とは一言も言ってない」
顔の引きつった圭を、月乃が全力で止める。こんなときにまでいちいち喧嘩されていては堪らない。
「そこまで。ふたりとも、一言ずつ余計なんだよ」
月乃に言われ、ふたりはチラシに目を戻す。
「緋豊はどうする~?」
いつものようにふにゃりと笑って春陽が言う。さてと、どうしたものか。行くのはいっこうに構わない。むしろ、そういったことにあまり触れてこなかった緋豊としては、なかなか楽しそうだと思う。ただ、ひとつだげ躊躇することがあった。
 それというのは、規模の大きさである。春陽の言うように、かなり大きなものなのだろう。露店の種類の豊富さも、それを物語っている。大きな祭りは人も多い。緋豊は、人混みというものがどうにも苦手であった。
 圭がニヤリとして言う。
「あれー?もちろん行くよなァ。まさか人混みだから行かないとか、そんな理由で断るような、空気の読めねぇ子じゃぁねェだろ?」
「当然だ、行く」
表情は変えず、それでも不機嫌さを声に滲ませて、緋豊は言った。こいつにバカにされるくらいなら、人混みにくらい行ってやる。そう決心して。

 そんな訳で、4人は夏祭りへと出掛けた。せっかくだからと浴衣を着て。下駄を鳴らしながら歩く少女たちの姿は、なかなか趣のあるものだ。
 春陽は薄桃色の生地に朝顔の柄、月乃は水色の生地に金魚と波紋、緋豊は紺色の生地に蝶の柄、普段は男物を着ている圭も、今日ばかりは菖蒲の浴衣を着ていた。
「……」
勢いで来てしまったものの、やはり人混みというのはどうも苦手だ。というより、人が怖いと言った方が良いかもしれない。怖気づいた緋豊の背中を押したのは、やはり圭の一言、もとい挑発だった。
「あっれー。やっぱ怖いの?この程度が?成長しねぇよな、お前」
「黙れ」
言葉と共に放たれたのは、綺麗な円形を描く回し蹴り。圭は体を沈み込ませそれを避けた。両者の間に火花が散る。<>br 「待って!ふたりとも頼むから待って!」
次の攻撃を繰りだそうとしていたふたりの間に、月乃が割って入った。攻撃が直撃すれば怪我では済まないだろうが、このふたりの反射神経ならば十分止められるだろうと判断して。
 やはりこの4人で来たのは失敗だったかもしれないと後悔しつつ、月乃は諭す。
「圭は挑発ばっかりしないで。緋豊は浴衣で回し蹴りはどうかと思うよ。せっかく来たんだから楽しもうよ」
「そうだよ~。あっ、わたがしだ~」
同調した春陽は、屋台に目をとめふらふらと行ってしまう。はぐれたら合流が大変だ、と他の3人も春陽を追いかけた。

 わたがしをふたつ購入し、ふたりずつで分け合う。それ自体はいいのだが、やはり圭と緋豊をペアにするべきではなかった。なにやら騒いでいる。祭りの喧騒のなかではさほど目立たないので放っておくが。
「ねぇねぇ、あれやろうよ~」
黙々と食べ続けていた春陽が顔をあげて言う。彼女の視線の先には『ボール投げ』の文字があった。
「ボール投げか……。やってみようか」
「圭には負けない」
「あ?こっちのセリフだぜ」
このふたりはどうしてこう事あるごとに突っかかるのだろう。緋豊の場合は自覚はないのだろうが。
「すいません、4人お願いします」
もう何を言っても無駄だと知っている月乃は、お金を払って3人を呼んだ。やるとなれば喧嘩などせず、本気でやるだろうと踏んだのだ。
 確かにそれは外れてはいなかった。ただし、少々本気過ぎたようだ。
 ボールを投げ、置かれた積み木を倒す。倒した数に応じて景品がもらえる、というごくありふれたゲーム。ただ、それだけのはずなのだ。
 月乃が投げようとした瞬間。隣で何かの破裂音がした。
「な、え……?」
薄々、なんの音かは分かっていた。この場で破裂するものなど、ひとつしかない。
 隣では、緋豊と圭が顔を見合わせていた。どうしようかと尋ね合うような表情は、何かとんでもないことをやらかしたとしか思えない。それが何なのか、積み木を見れば一目瞭然だ。いや、積み木であったもの、と言った方が正確だろう。
 そこにあったのは粉々の積み木と、元はボールであったであろうゴムだった。
 うっかりしていた。このふたりが本気なら、ボールのひとつやふたつ、破裂してもおかしくない。積み木の10個や20個木っ端微塵になっても、全くおかしくないのだ。
「すみません……」
緋豊と圭は、とにかく頭を下げる。本来ならば弁償ものだろうが、店主も自分たちのことをよく知る地域のおじさん。
「お前らやっぱりすごい力だなぁ」
の一言で事なきを得た。どのみちこの祭りのあとで捨てるつもりのものだったようだ。さらに、こんなこともあろうかと、予備も用意していたらしい。月乃としてはなぜこれが予測できたのか気になるところだ。
 気を取り直して、私も投げよう、と構えたとき、
「きゃー!」
今度は逆隣で春陽の悲鳴が聞こえた。ボール投げとは、悲鳴があがるようなものだっただろうか。そんなことを思う間もなく、反射的に振り返る。が、振り返らない方が良かったのかもしれない。
「痛っ……」
額の辺りに強い衝撃。何があったのか理解する前に、月乃は意識を飛ばしていた。

 ぱたりと倒れてしまった月乃に、3人はただ慌てる。
「春陽!何してるんだ」
「わ、分かんない!ボール投げようとしたら横に飛んでっちゃって……!」
「こんな真横に飛ぶか!?ある意味すげぇよ」
「えへへ、ありがとう」
「ホメてねぇ。すげぇとは言ったけどホメてねぇぞ!」
「いや、だが剛速球だったぞ。これは褒められるに値……」
「しねぇよ!!」
意味のない会話をしているうちに、周りの大人たちが月乃の容態を確認する。だが、その必要はなく、幸いすぐに目を覚ました。
「ちょっと春陽!一体どうやって投げたの?とても不思議なんだけど」
つい先程まで意識が無かったとは思えないほど元気に、月乃は春陽に詰め寄った。本気で腹立てている訳ではないことは、周りから見ても、付き合いの浅い緋豊や圭から見ても明らかである。
「ごめんね、知らないうちに飛んでっちゃった~」
「知らないうちに!?」
大人たちは、そんな彼女らを見守る。この傍迷惑だが微笑ましい光景が、ある意味この町の名物である。
 ちなみに、月乃は結局ボール投げが出来なかった。まとめて支払った内の月乃の100円は、翌日届けられたという。

 しばらく歩いて行くと、建物が見えた。
 おそらく公民館なのだろうが、普段とは全く違った雰囲気である。暗がりの中で、窓からぼんやりとした僅かな光が漏れている。独特の雰囲気、それは明らかに
「……お化け屋敷か」
 そういえば、チラシにも書いてあった気がする。公民館をまるごと使ったメインの出し物なのだと。仕掛けはもちろん、エキストラも使った大掛かりなものなのだとか。
 月乃のつぶやきを聞いた反応は、三者三様であった。春陽はパッと目を輝かせ、緋豊はビクリと肩を震わせた。圭はそんな緋豊を見てニヤリと笑う。
「よっしゃ行くぜ!」
「行く行く~!」
そう言ってさっさと歩いて行ってしまう圭と春陽。月乃は、突っ立ったままの緋豊に声を掛けた。
「大丈夫?顔、青いよ?」
「緋豊ー!お前怖がりだから、無理しなくてもいいぜ。ここで待ってろよ」
圭にしては優しい声掛け。だが逆効果だったようだ。
「誰が怖がりだ。私を見くびるなよ」
そう言ってスタスタと歩いて行ってしまう。大丈夫なのかな、と心配をする間もなかった。
 圭とすれ違う時に聞こえた、
「はは、扱いやすい奴」
という、少し意地悪な響きの言葉に関しては、月乃は聞こえなかったことにした。その方が良いような気がしたから。
 受付の女性に説明を受けたところ、このお化け屋敷は、基本的に二人一組で回るらしい。彼女たちは4人のため、必然的にふたりずつに別れることになる。
 圭は緋豊と無理矢理にでも組むと思っていたのだが、驚いたことに春陽と回ることになっていた。緋豊の怖がりようを間近で見ようと思っているだろうと予想していたから、意外すぎた。意外すぎて何か企んでいるのではないかと疑った程だ。そうなると、月乃は緋豊と回ることになる。始まる前からわずかに震えている彼女を見ると、不安しかないのであった。
「じゃあ行ってきま~す」
二人一組である以上、ペアとペアの間はある程度の時間をおかなければならない。春陽・圭ペアが出発したおよそ15分後、月乃・緋豊ペアがその後に続く。
 受付を出発する時、緋豊はもうずいぶんと顔色が悪かったように思う。

 春陽と圭は、薄暗がりのなかを順調に進んでいく。ショッピングでもしているかのようなゆったりとした歩調。おどろおどろしい空気には合わない楽しげな喋り声。
「すっげぇ大掛かりな仕掛けだよなァ」
「公民館まるまる使ってるからね~」
遠くから聞こえてくる悲鳴。月乃や緋豊のものではない。
「そんなに怖いかな~」
いの一番に悲鳴をあげそうな、ほんわかとした春陽が言うと全く怖くないようだが、彼女はかなり怪談には強い。あまり基準にはならないだろう。
 少し狭い通路に入ったときだった。バリッバリッと異様な音をたて、無数の手が壁を突き破る。しかも、おそらくエキストラがやっているのだろう、不規則に動いていた。
 その場に立ちすくむような光景。しかし、
「この壁紙、和紙だな。どうりで簡単に突き破れるわけだ」
「じゃあ次の人が来る前に交換するんだね~。お疲れ様です~」
冷静すぎるコメントを残し、春陽に至っては握手をし始める。そのまま笑顔で去っていくふたりの姿は、エキストラにどのように写ったのだろうか。

「もう帰りたい私もう無理先は長いのか今すぐ引き返したい入る前の自分を殴り殺したい」
「ごめん、お化け屋敷より緋豊の方が怖い」
普段無口な緋豊が、暗い目でブツブツ何かを言っていると、隣にいるだけで不気味だ。彼女を部屋の片隅にでも置いておいたほうがよほど怖いだろう。
「大丈夫だよ、所詮は作り物だしさ」
月乃も、あまりこういったものは好きではない。一体なぜこの組み合わせにしたのだろう。
「……そうだな、作り物だ、」
そう言いかけた緋豊は、しかしすぐに足を止める。立ちすくんだままある一点を見つめていた。彼女の視線の先にあるのは割れた全身鏡。
 ーーー写っていたのは、3人。
自分たちの背後に、知らない女性が立っていた。
「これは振り向かなければならないのか!?」
「振り向くのが定番だけど、振り向かないっていうのもひとつの手だと思うよ!」
「……じゃあ決まりだ!」
必要以上に大きな声で話した彼女たちは、言い終わるや否や走りだした。大丈夫、後ろから追いかけてきてなどいない。自分にそう言い聞かせながら。
 しばらく走っていると、急に緋豊が立ち止まる。
「どうしたの?」
「……ここ、人がいる。それも、大勢」
怖がりすぎだって、と笑い飛ばすことは出来なかった。緋豊の表情は真剣そのものであったし、彼女が人一倍人間の気配に敏感なのはよく知っている。
 けれど、進むしかない。引き返すわけには行かない。なぜなら、お化け屋敷だから。後ろの人の迷惑になる。
「サクッと。サクッと通り抜けよう」
ふたりで手を繋いで、足早に通り抜けようとする。しかし、
「きゃ……!」
月乃の目の前を、何かが遮る。一瞬固まったが、明らかに、それは、
「人の……手!?」
普段の月乃なら、エキストラと察することもできたのだろう。しかし、もはや頭は真っ白だった。
 ぴくり、と震えた緋豊が、月乃の手を強く引っ張る。その行動の意味を悟るより先に、雷鳴のような音を立てて右側の壁が無数の手に突き破られた。
 蠢く腕を、ふたりして呆然と見つめる。
「……心臓に悪いよ、これ」
ほぅ、と息をついた。手を避けるように左に寄る。が、
「……っ!」
冷たい。
「なん……」
気持ち悪い。
「なんだ……」


ーーー怖い。

 緋豊の細い二の腕を、左側の壁から伸びた手が強く強く掴んでいた。それを理解した瞬間、緋豊はパニックを起こす。
「ああああああああああ……」
悲鳴、絶叫をあげながら、振り解こうと必死にもがく。月乃が心配したのは、緋豊よりエキストラの方だった。なにせ投げただけでボールを破裂させる彼女である。腕を脱臼、などということになりはしないか。しかし緋豊も本気で怯えているようで、あまり力は入っていないようだった。
「緋豊落ち着いて。あくまでお化け屋敷だからね」
「でも……!」
言いかけたところで、強く腕をひかれる。壁に引きずり込まれる。精一杯の抵抗も虚しく、月乃と緋豊の姿は、壁の向こうへ消えていった。

 一方、サクサク進んでいたかに見えた春陽と圭は、来た道を引き返していた。
「おかしいねー?分かれ道なんてなかったのに」
彼女たちが向かった先は、行き止まりだった。となると、どこかに隠し通路があったのか。……お化け屋敷に隠し通路かよ、などというつっこみは置いておくとして。
 例の手が出る通路まで戻ると、そこは壁(に見せかけた和紙)の張替えの真っ最中だった。そこに、見知った人物を見つける。
「あれ、春陽の母さんじゃねぇか?」
「ほんとだ~。ママ~!」
春陽の母、卯月うづきは少し手を止め振り返った。
「あら、やっと戻ってきた」
「向こう行き止まりだったよ~?」
「当たり前よ、本来のルートはこっちだもの」
そう言って、ひとつの扉を指差す。
「ふたりとも全然怖がらないんだから。こっちに誘導できないし私もつまらないし、どうしようかと思ったわ」
まぁ月乃ちゃんと緋豊ちゃんが面白かったからいいけど、と満足そうに言う卯月に、圭は目を輝かせる。
「その話、あとで詳しく!」
「もちろん!」
妙なところで意気投合したふたりはそのまま話し込んでいたいようではあったが
「おーい、行くなら行ってくれないと、張り替えられないんだが」
と、先を急ぐことになった。

「あれ、春陽に圭も……。どうしてこんなところにいるの?」
扉の向こうには、すぐそこに緋豊と月乃がいた。
「うーん、怖がらなさすぎて迷ったというか~」
「まぁそんなとこ……ってか緋豊?めちゃくちゃ涙目じゃねぇか!」
ゲラゲラと笑う圭を、緋豊は思い切り睨みつける。その対象でないはずの春陽や月乃がぞくりとしたほどだ。圭は相変わらず笑っていたが。
 しばらく歩くと、後ろから物音がし始めた。全員が一瞬顔を見合わせる。
「ここは振り向くところだよなァ」
「……私は無理だ」
「でも前にもいるよ~?」
春陽に言われ顔を上げれば、後ろからは白い着物の幽霊、前からはゾンビというよく分からない空間になっていた。
「なんでいままで和風だったのにいきなりゾンビなのよ」
そう呟いた月乃の隣をずんずんと進んでいったのは、意外にも緋豊だった。びしりとゾンビを指差し高らかに宣言する。
「こういうのは、大丈夫!」
「ちっ」
間をおかず聞こえた舌打ちにはあえて触れず、そうかそうかと笑う。
「それより、あそこに扉があるぞ。光も漏れているし、出口じゃないか?」
よく目を凝らしてみると、確かにゾンビたちの後ろから微かに光が漏れていた。長かったこのお化け屋敷もようやく終わりか、と安堵する。
 出口目指してゾンビの間をすり抜ける。怖くないわけではなかったが4人もいれば大丈夫。そのまま一気に走り抜け、春陽がドアノブに手をかけた。

 扉を開くと聞こえたのは、独特の風のような高音と爆ぜるような音。強い光が辺りを包む。それがなんなのか理解すると、月乃は慌てて圭の手を引いた。
「まずい、もう始まってる!急ぐよ!」
今日の祭りのメインは、花火と盆踊り。広場からは笛の音も、夏風にのって聞こえてくる。賑やかな、祭り特有の喧騒である。
「盆踊り、みんなでやるんだもんね~!」
春陽も緋豊の背を押した。
「待ってくれよ。ボクらは盆踊りなんてやったことねェぞ?」
「何となくでいいのよ!」
圭に返した月乃の言葉に、そういうものなのかと納得してしまう。緋豊も、ふわりと微笑んだ。
 小走りに、広場へと急ぐ。暖かい提灯の光が近づいてくる。ひらりひらりと浴衣の袖が踊る。4人が広場に駆け込んだ時には、既に多くの人々が集まっていた。
「……入りづらくないか?」
途中参加というのは、どうにも気まずい。が、
「気にしない!行くよっ」
「れっつごー!」
月乃と春陽は構わず走りだす。緋豊と圭も、笑みを零し歩いて行く。

 その祭りはこれまでにない盛り上がりを見せた。少女たちの踊りは、初めてとは思えないほど美しかったという。


その後。
 下駄の音を軽やかに鳴らして、歩いて行く少女たち。楽しげな会話が聞こえてくる。
「楽しかったな」
「おう、来年も行きてぇな、お化け屋敷」
「それには同意できん」
「まあまあふたりとも。ところで……」
月乃が口調を改める。きょろきょろと辺りを見回してから言った。
「春陽が見当たらないのだけど」
軽かった足取りが、ピタリと止まった。先程月乃がしたように、圭と緋豊も視線をめぐらす。
 春陽の姿は、ない。
「探すぞ」
ぼそりと言った緋豊に頷き、3人は散った。
 ようやく月乃が見つけた時、春陽はのんきにりんごあめを頬張っていた。頭を抱えた月乃への一言は、こうだった。
「みんなの分もあるから大丈夫だよ~」
夏の夜、少女の盛大な溜息が響いた。


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